CoCシナリオ「星降る列車」


シナリオ情報

分類:現代日本クローズド

プレイ時間:1時間程度(オフライン)

PL人数:1人

推奨技能:〈目星〉、〈図書館〉

PL難易度:生還するだけなら低

KP難易度:中

ロストの可能性:一応有

備考:RP重視のシナリオなのでテキストセッションの方が恐らくベストに行きやすいかと思います。

   またKPに委ねる箇所がやや多いです。

テストプレイ:オフラインセッション、大体1人につき30分~悩みまくって1時間半ぐらい。

       ちなみに7人ほどにやってベストは1人だけでした。


あらすじ

 探索者は気が付くと古びた列車に乗っていた。同じく気が付いたら乗っていた少年と一緒に列車を探索してみるが……?


このシナリオに関して

・PLが銀河鉄道の夜といった場合、探索者が日本人ならアイデアか知識、外国人ならその半分で銀河鉄道の夜と同じ状況にあることに気づいても良い。

 

・最前と中央の車内に乗っているこのシナリオのNPC達は、ラヴクラフトの小説に出てくる登場人物達です。探索者との会話はアドリブでがんばってください。

 

「回したいけど原作読んだことないし……」

「ラヴクラフトの小説の登場人物とか恐れ多くて無理」

「こいつらの喋りが回りくどくてRP出来ないんですけど」

という方は卓で回したシナリオで出てきたNPCや他の探索者などを出しても構いません。

ていうか適当にNPCでっちあげても良いです。ただし、死者であることが条件です。

 

「俺はダーレスの小説が好きなんだ!!」

「この作品のこいつが入っていないのは何事だ!!!」

みたいな方は自由に出してください。別に止めません。

 

・中央の本棚に出てくる本の原作を読んだことが無い方は『宇宙からの色』と『インスマスを覆う影』と調べるとwikiやらなんやら出てきますのでそれを参考にしてください。

 

・特にシナリオ背景とかは考えていないのですが、ニャル様がご主人に死者の魂を上げようとか思ったんじゃないんですかね。

 

・菅原範治は基本的にピュアなので、好感度がそこそこあれば「もうお別れだね」と探索者がいうと「一緒に居て」と言い出しますが、その辺の難易度は各KPにお任せします。 


導入

 ある日のこと夜風に当たりたいと思った探索者は夜の川辺を歩いていた。ふと、空を見上げると雲一つない満天の星空だった。

 ……しかし探索者は空から星が降ってくるような錯覚を起こし、そのまま気を失ってしまう。

〈聞き耳〉:ドボンという何かが水に落ちる音が聞こえた。

 

 ……探索者はガタンゴトンという音と揺れで目を覚ます。どうやら列車の席らしい。目の前には一人の少年が座って寝ている。

 探索者の手には切符が握られており、「宇宙鉄道1名様ご乗車フリーパス」と書かれている。 


最初の車両

窓の外を見ると電車が地面を走っていることがわかる。空を見上げると星空なため夜であることは分かるだろう。

持ち物は直前に宣言されていない限りは持ち込み不可だが、財布携帯レベルなら持ち歩いていたとしても構わない。ちなみに携帯系は圏外。時計を見ると自分が川辺を歩いていた時間ほどだと分かる。

どうやら一番後ろの車両らしく、進行方向側に次の車両への扉があるが今は開かない。進行方向逆側には車掌室に繋がる扉がある。

探索者と少年以外に乗車しているものはいない。また、車内には本棚がある。

 

外の景色に〈目星〉:流れる風景のなかビルの窓のように星が並んで立っているのがわかる。

〈アイデア〉:地方の古い鉄道のような内装だと気づく。

〈目星〉:路線図を見つける。

 

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宇宙鉄道路線図

北駅 始発駅

白鳥駅

鷲駅

南駅 終点

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本棚

『当列車について』(技能を振らないで手に入るパンフレット) 

当列車はフリーパス以外のお客様に関しまして、特別な場合を除き南駅までに下車していただきます。

 

〈目星〉:『特別な場合についての資料』

本来2名様の予定で1名様のみのご乗車の場合、フリーパスのお客様と一緒にいられますと特別な場合となります。 またこちらの特別な場合であっても以下の条件を満たしていない場合、南駅で強制的に下車していただきますのでご了承ください。 (しかし条件の部分が切り取られている)

 

〈図書館〉:『当列車について:改訂版』

フリーパスのお客様であっても特別な場合のお客様と一緒におられて条件を満たしていない場合、一緒に南駅で降りていただくことがございます。ご了承ください。

車掌部屋 

車掌部屋には誰もいない。 

〈目星〉:ガラス越しに線路を見ると走った後の風景が真っ黒に染まっていく様子がわかり、このまま消えてしまうのではと感じ、1/1d3のSANチェック。

少年 

起こす前に〈目星〉をすると少年の手には切符があることがわかる。

「こちらの手違いにより2名様ご乗車の予定でありましたが、1名様となってしまいました。申し訳ございません」と裏に小さな文字で書かれていることに気づく。

 

起こすか数回行動すると少年は目を覚まし、辺りを見渡したり、切符をみたりする。

そうして何かを小声で言う。

〈聞き耳〉:「母さんは僕を許してくれるだろうか」

 

探索者の方を見ると少年は「初めまして見知らぬ人。突然で申し訳ないんだけど、この列車の中だけでも友達になってくれない?僕は菅原、菅原範治」といいます。

 

KP情報 少年は自分が人を助けるために川に入ったことを覚えているので、自分が死んでいるのではないかと思っています。

 

切符 

探索者の切符はフリーパスと書かれている。少年の切符は南行となっている 


イベント白鳥駅

白鳥駅に到着すると「只今から車両点検を行います」というアナウンスが入る。20分間停車するらしい。駅は無人駅で何もない。降りると乗っていた列車が3両編成であることが分かる。

ここに着いた時点で中央、前方の車両を探索ができるようになる。

 

駅から出てみると枯れ果てた小さな森があり、森の中央には隕石が落ちた跡がある。

隕石はこの世にはない色に変色している。0/1のSANチェック。

少年は「せっかくだし、記念に小さい隕石をもらっていこう」という。

 

この駅ではネズミを持つ人が乗車してくる。

「私の家の壁の中にはネズミがいて、そいつが人を食らうので、大変だったんだ」

などと話す。(壁の中の鼠の私)

この人に<目星>すると口に血が付いていることがわかり1/1d3のSANチェック。

「よかったら」と、とらえたネズミを置いて彼は車内の椅子に腰を掛ける。

 

ネズミに<目星>、<医学>、<生物学>等を行なってもただのネズミだとわかる。


中央の車両

白鳥駅に着くまでは開かない車両。内部は最初の車両とほとんど同じ、車内販売らしき棚と本棚がある。

また何人か人が乗っている。前方の車両への扉は普通に開く。

 

お茶や弁当といった普通のものが置かれている。「お金はここに入れてください」と書かれた小さい段ボールがある。人の善意によってなりたつあれ。

〈目星〉:ペットボトルに人だったものと書かれた水が置いてある。

     良く見ると不純物みたいなものが浮いている。

→〈アイデア〉本当に人だったのかもしれないと思い1/1d2のSANチェック

 

本棚

〈目星〉:『宇宙から来た隕石と色について』。という本がある。

読んだ場合1/1d4のSANチェック 〈クトゥルフ神話〉を2得る 

内容はラヴクラフトの小説『宇宙からの色』をかいつまんで説明したようなもの。

 

〈図書館〉:『インスマスという街について』という本がある。

読んだ場合1/1d4のSANチェック。〈クトゥルフ神話〉を2得る 

内容はラヴクラフトの小説『インスマスを覆う影』をかいつまんで説明したようなものに+1927年にアメリカ政府による「密造酒の取り締まり」とされる住民一斉検挙が海軍とFBIの共同作戦で行われ、ゴーストタウン化していることなどが書かれている。

 

乗車してる人の例

「私はとある謎を追っていて、それは、海の中から怪電波が送られているということだ、石版や人を訪ねたり、ボートで海に行って、気がついたらここにいたんだ」(クトゥルフの呼び声の主人公)

 

「私は不死いや、死体蘇生を研究していた。助手は認めてくれなかったけどね」(ハーバート・ウェストさん)

 

「君は南極に行ったことがあるかね?あそこは行ってならない」(狂気の山脈の私)


最前の列車 

基本的な作りは一緒。進行方向側に運転室に繋がる扉がある。

車内には本棚、レコード再生機、また数人の客がいる。

 

車内に〈目星〉:切り取られたメモを見つける『条件:心をかわし、ジョバンニの役割を果たすこと』

→〈アイデア〉:ジョバンニというのは『銀河鉄道の夜』の主人公だということを思いつく

さらに<アイデア>:『銀河鉄道の夜』の列車のシーンはジョバンニがカンパネルラに「一緒にいようね」と何度も声をかけ、誓った後振り返るとカンパネルラはいなくなっていた というものであると思い出す。

 

運転室 

運転室には誰もいない。進行先を見ると終点あたりに大きな十字架のようなものがあることがわかる。

その十字架は光り輝いており神々しく見えるが同時に何故か不安になってくる。0/1のSANチェック。

<目星>:メモがある『子供は大人が思っているよりずっと単純』

 

本棚 

古いレコードや本がある。

<目星>:『銀河鉄道の夜』を見つける。

<図書館>:安っぽい紙に入ったレコードを見つける。表には手書きで『宇宙人の声』と書かれている。(闇に囁くもの)

 

レコード再生機

宇宙人の声を再生すると英語での会話が流れてくるがおおよそ人の発音とは思えない不気味な声であり1/1d3のSANチェック。

 

乗車してる人の例

「私は墓守で、棺桶に入らなかった人の足をそぎ落としたんだ。するとどうだ?閉じ込められた時にその、足をそぎ落とした棺桶から……」(死体安置所にてのバーチさん)

この人に話しかけた瞬間、窓の外から棺桶が投げ込まれてくる1/1d3のSANチェック。

 

「私は宇宙人を見たというエイクリーという人物と文通し、宇宙旅行に憧れて山荘に向かって、あぁ思い出すもの恐ろしい」(闇に囁くもののウィルマース教授)


イベント鷲駅 

停車は2分ほど。降りようとしたら二度と電車来ないから詰むと教えてあげてください。

それでも強引に降りる様な人の話を聞かない探索者はロストさせてください。

 

ここではとある青年と少女が乗車してくる。

「私たちは家にいた時に突然政府によって街ごと襲われ、気がついたらここにいたんです」

『インスマスという町について』を読んでいた探索者は<アイデア>:目の前の青年がインスマス面になっていることに気づく。1d4/1d6のSANチェック。

 

少女は青年の姪らしい。少女は列車に乗るのが珍しいらしく楽しそうである。

少女の顔を見るとだんだん魚のようになっているのに気づき1d4/1d6(青年に既に気づいている場合は0/1)のSANチェック。


南駅 

南駅に着くと新世界よりが流れ、少年と探索者以外の乗客は降りる。

降りた乗客の様子を見ていると彼らは十字架のある丘に登って行く。

十字架はだんだんと光り始め眩しくなっている。

ここで探索者に目を瞑るか瞑らないかの選択をさせる

 

瞑らない場合、十字架の上から降りてくるアザトースを目撃し、更にそのアザトースが十字架に向かう人々を食らう様子を見る。1d20/1d100のSANチェック。

 

瞑った場合は先ほどまで居た人々が消えていて1/1d4のSANチェック。


ED分岐

・少年の好感度を上げ、探索者が少年に一緒にいようねという

 →ノーマルエンドへ

・少年の好感度を上げ、少年から探索者に一緒にいようねと言わせる

 →ベストエンドへ

・少年の好感度を上げず、探索者から少年に一緒にいようねと言う

 →ノーマルエンド2へ

・少年の好感度を上げず、少年から探索者に一緒にいようねと言わせる

 →バッドエンドへ


ED

トゥルーエンド

探索者は意識を失ったところで目を覚ます。なにやら騒がしい。

近くの川に子供が落ち、それを別の子供が助けたが、今度はその子供が溺れたという。

見にいくと子供は勇気ある大人たちによって助かったらしい。

 

報酬

 生還した 1d6のSAN回復

 少年が助かった 1d4のSAN回復

 

補足:探索者がカンパネルラ役になるが、少年が条件を満たしているため、普通にフリーパスの効果が発動して生還できる。

 

ノーマルエンド

探索者は意識を失ったところで目を覚ます。なにやら騒がしい。

近くの川に子供が落ち、それを別の子供が助けたが、こんどはその子供が溺れたという。

見に行くと「もう45分経ってしまった」と多くの人が悲しんでいる様子である。

 

報酬

 生還した 1d6のSAN回復

 

補足:探索者がジョバンニ役、少年がカンパネルラ役になるため少年が死ぬ

 

ノーマルエンド2

まず探索者に<幸運>を振らせる。

<幸運>に成功

探索者は意識を失ったところで目を覚ます。なにやら騒がしい。

近くの川に子供が落ち、それを別の子供が助けたが、こんどはその子供が溺れたという。

見に行くと「もう45分経ってしまった」と多くの人が悲しんでいる様子である。

 

報酬 生還した 1d6のSAN回復

 

<幸運>に失敗

気が付くと探索者と少年は南駅に降りていた。

すると十字架が光りはじめ、その中から何かが出現する。

探索者達はそれを理解する間もなく、食われてしまった。

 

探索者ロスト

 

補足:カンパネルラ役が確定するので少年は確実に死ぬ。

さらに条件を満たしてないので探索者は運が良くないと死ぬ。

 

バッドエンド

気が付くと探索者と少年は南駅に降りていた。すると十字架が光りはじめ、その中から何かが出現する。 探索者達はそれを理解する間もなく、食われてしまった。

 

探索者ロスト

 

補足:探索者がカンパネルラ役になり、さらに条件を満たしていないので(『当列車について:改訂版』より)死ぬ。勿論少年も死ぬ


NPC情報

・菅原範治(かんばら はんじ)

手違いでジョバンニとカンパネルラの役割を両方することになった少年。

現在生死をさまよっている。自分のことは多分死んだのだと思っているし、探索者のことも死者だと思っている。

基本的には友好的な少年で、ぞんざいに扱わない限りは探索者を好意的に持つ。


余談

・エンド分岐に関しては簡単な日本語の問題。「出てくる情報がすべて探索者のためのものではない」ということです。私のテストプレイでは7人中5人が引っかかりました。

・また、KPが少年のことを「菅原」というとPLが「カンパネルラ」の印象を受け、「範治」というとPLが「ジョバンニ」の印象を受けやすいです。回すときはKPは「少年」と呼んでPLに呼び方をゆだねるといいと思います。

・一晩でやってくれるんじゃないの?→それはジェバンニです。

・宇宙を飛ばないんですか?→それは銀河鉄道999です。